この公団に引っ越して、丁度一年になる。
公団なので非常に家賃も安い上、公団は裏庭?みたいなものがあって、そこに地域猫が一匹住み着いている。その子はやせてていつも引きつった警戒した顔をしていて、とても他人とは思えない。私が近付くと、いつも私と目を合わせながら警戒しつつ後ずさりし、逃げていく。時々魚のアラとかを、裏庭においていく。それだけで、何故かすごく豊かな気持ちになる。猫と魚をわけあっていると思うと、なぜか幸福な気分になる。
その猫がいるので、少し暮らしが楽になったと思う。ベランダに出ると、そこから猫が見える。夜も猫が近くにいるんだと思うと少しほっとする。
でも、夜になると、よく猫のものすごい悲鳴みたいな声が聞こえる。
引っ越してきた当初は、人間の子供の声だと思っていたけど、しばらくして地域猫たちの喧嘩の声だと近所の人が教えてもらった。
その猫の喧嘩が最近もよく聞こえるけど、それを聞くとすごくつらくなる。
子供のとき、姉とよく喧嘩して、それを母親がものすごく嫌がったことを思い出す。
猫の喧嘩する声を聞くと、本当に悲しくなる。
あの悲鳴だけはやめて、頼むから喧嘩しないでと思う。
つづく。